令和6年度埼玉大学SD特別講演会を開催しました
2024/12/23
埼玉大学では12月3日(火)、人文社会科学研究科の宇田川元一准教授(専門:経営戦略論、組織論)を講師に迎え、令和6年度埼玉大学SD特別講演会を実施しました。
今回のSD特別講演会では、「対話を通じて一歩ずつ組織を変える -構造的無能化を乗り越えよう-」と題した講演に加え、第2部として「2on2」による対話の実践ワークショップが実施されました。「2on2」は、宇田川准教授が企業との共同研究を経て開発した新しい対話手法で、それぞれが異なるナラティブ(物語?価値観?解釈)を持っているという前提のもと、対話を通して自分のナラティブを作り変えながら自身から見えている問題を解きほぐしていくセルフケアの手法です。
講演では、問題に対してすぐに解決策を求めるのではなく、まず問題を可視化して皆で考えるというプロセスの重要性や、組織改革における対話の意義について、様々な事例を交えながら分かりやすく解説がありました。また、組織の問題は個人の問題ではなく構造的な要因から生じることが多いという指摘は、多くの参加者の共感を集めました。
講演に続くワークショップでは参加者が実際に「2on2」に取り組みました。この対話手法では「解決策を提示してはいけない」というルールが設けられており、当初は参加者も戸惑いを見せていました。しかし、「あなたが一番困っていることは何か?」といった質問や「逆にこの問題を悪化させるためにはどうすれば良いのか?」という「反転」の問いかけなど解決策を提示せずに行うことで、問題に対してじっくりと向き合うことの重要性について実践的に学びました。
事後アンケートでは、「組織の慢性疾患という状態について考えさせられた」「一度問題を俯瞰して見ることの重要性がわかった」「困りごとを皆で研究するという新しい視点が得られた」といった講演内容や対話手法についての気づきに加え、他部署の職員との交流の場としても有意義であった」という声も寄せられました。参加者の大多数が「非常に満足」「やや満足」と回答し、組織内の諸問題が発生するメカニズムについて理解を深める貴重な機会となりました。なお、当日参加できなかった教職員向けに、学内限定で講演会のアーカイブ動画も公開しています。