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2024年度日本労務学会賞 研究奨励賞を受賞(人文社会科学研究科 博士後期課程 3年 佐藤直子さん)

2024/12/17

(左から)指導教員の金井郁教授と佐藤さん

2024年度日本労務学会賞において、人文社会科学研究科 博士後期課程 経済経営専攻 3年 佐藤直子さんが、研究奨励賞を受賞しました。

受賞者 佐藤直子
受賞題目
地方自治体職員の異動と昇進からみる女性管理職の選抜要因

受賞者からのコメント

この度、2024年度日本労務学会「研究奨励賞」を授与いただき、非常に光栄に存じます。関係者の皆様には厚く御礼申し上げます。
長年、市役所に勤務して疑問に感じたことを形にし、深く理解したいと思い、人生の棚卸のような気持ちで勉強を始めた私が、ここまで研究を続けてこられましたのは、ご指導くださった先生方が、節目節目で研究を続けるよう後押しくださり、研究を通してしかわからないことがあると教えてくださったからです。
また、職場をはじめ全国津々浦々でつながっている公務員の皆様、研究仲間の皆様の支えやご協力があってこそ、今があると思います。この場を借りて、深くお礼申し上げます。
この研究では、男女のキャリアツリーとインタビュー調査をもとに、自治体において女性の配置が低位となる要因について、「能力観」という概念を使って分析しています。組織内の関係性のなかで、「能力」の見え方が作られ、結果として処遇に影響していく様を実証することができたと考えています。
役所の人事労務のあり方は、役所組織の価値観を醸成しており、組織で働く職員への影響にとどまらず、政策立案や実施を通じ、市民生活や地域経済にも影響しているのではないかという問題意識をもって、一層精進していく所存です。

研究概要

政令市A市を事例に、制度上の平等のもと、タテの昇進及びヨコの異動の構造が男女でどのように異なるかを検討した。仕事の実績や組織内の配置によって評価される能力とは別に、選抜のされ方が能力の見え方=能力観をつくり、その能力の見え方が処遇に影響を与えている。A市職員では「ジェンダー化された能力観」の形成が示唆される。
選抜システムの循環構造と、それを支える「ジェンダー化された能力観」が変わらないかぎり、A市において男女というカテゴリーがない状態での処遇決定の実現は困難と考える。

指導教員 金井 郁教授からのコメント

キャリアツリー分析を行い、昇進構造とそれに伴う能力観を考察した論文です。従来の先行研究が行ってきたキャリアツリー分析は、民間企業含めて男性のみのデータを用いて検討するものばかりでした。方法論的にもジェンダーバイアスがあったといえます。女性のデータを含めて、選抜の構造が異なり、能力観の異なりにつながることを指摘した貴重な研究になったと思います。

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